(日付は初アップロードでブログ移行前です。)

SOUBGEN

2003.03.17 Monday

SOUBGEN

 杉中夫妻のユニット。
 活動を二つに分けると、和ベースの、三味線・日舞と
アポリジニ音楽ベースの、ディジュリドゥ・ボーカル・タンプーラ。
 
 ワールドミュージックは、いろいろなジャンルが混じっているので、
聴く側も固定観念や、従来の価値判断を横に置いて、
オープンな気持ちで聴くと良さを感じやすいですよね。

 実力ある「道楽者」を強く感じるユニット。
特に、私の好きな和ベースの方を書きます。

 特徴は「お座敷」遊びの楽しさ。
 
 三味線や謡や日舞は、日本のお座敷で花開いた素晴らしい伝統芸能です。
でもお座敷で育った花は大きな舞台に上がると、普通ちょっと貧弱に見えます。
(カラオケボックスでどれ程上手く歌う人でも、
舞台で歌うとスケール小さく感じるのと似てますね)

 彼らはこの道楽アート「お座敷」の芸能の良さを、
舞台でちゃんと表現出来るアーティスト。

 本当のお座敷は、接待・宴会の場所でもありますので、
どこか猥雑な印象がない訳ではないのですが、
彼らの舞台は粋で品が良いです。
 
 空間コーディネィト・衣装も含めて、見応えあります。
プロとして人を楽しませることに徹した結果「ど派手」。
 
 彼らのライブは、
花も実もある中高年のお客さん達も熱狂!!大拍手で盛り上がります。

 なお特に若い子達のファンが多いアポリジニ音楽の方は、
ライブの他にワークショップも開いています。

 ただ音楽・踊りそしてビジュアル的にも見応えたっぷり過ぎて、
目移りしてしまい、演奏自体の印象が多少散るのが残念な所。
 一つ一つが半端なものではなく、しっかりしたものなので、
余計残念。

 でもそういう損も承知で、思い切り「道楽者の花」を咲かせる感じが
SOUBGENのすごい所。

杉中久夫さん
(三味線、ディジュリドゥ) 
 
 アボリジニ音楽のディジュリドゥの演奏もとてもいいのですが、
ここでは三味線中心に。

 杉中久夫さんは、学生時代にロックギターで数々の受賞歴があります。

 彼は「何の楽器」とか「何の音楽」という分け隔ての観念の薄い人。
 今愛着を感じている楽器が、逆にどんな音を出せるのか、どんな可能性があるのか、
そういうことを追求していきたい、ある意味でぜいたくな人という印象。
そしてそのために受ける損な部分(半端に思われやすい)も黙って背負っている。

 彼が世間で高く評価されたロックギターを捨てて選んだのが三味線。

 彼の三味線は数年の手ほどきを師匠に受けた他は独学。
でも乗ってる時の舞台に当たるとバチで弾く三味線という楽器の味を
十分に堪能させてもらえます。
 上手いです。稽古に励んだ彼自身の三味線の巧みさを
彼は「まだもて余している」と、時に思うことすらある位。

 
 涼しい目元とあまりに寡黙な印象にとっつきにくい感じもアリ。
 でもバチを持って熱がこもると、普段見せない強い芯とエネルギーを感じさせてくれます。
 幕間の時は全体的に気さくで温か。
 
 彼は三味線でインド音楽を演奏したことがありますが、
三味線と思えないような音色と演奏の仕方なのにとてもなじんでいて不思議でした。
 一見ミスマッチ、エスニックという感じなのですが、浮いた感じは全然なかったですね。

 楽曲はインドなのですが、逆にこれが三味線のキャパシティの開拓、
その新しい面を聴かせてくれるためにインドの楽曲を選んだように思えた。

 シタールそっくりに弾いているのだけど、
全然違う三味線という楽器はこういう音も楽々出せるのだと勉強させてもらった感じ。
音楽を楽しみながら。

 日本は夫婦社会でないので、ご夫婦で活躍される方はジャンルを問わず
気苦労もあるようですが、
 気さくで個性強い二人は見てるだけで心楽しく、
 対のお神酒徳利デスネ。

ゆう呼さあやさん
(日舞・ボーカル・タンプーラ奏者・)

 
 ご主人の久夫氏の三味線と同じく、流派に属さない彼女の日舞。
 
 元々舞台の日舞のプロの舞踊家。
 フリーで活動中で、時々別の流派のプロの公演に助っ人に行ったり。
 長年稽古に励んだ彼女の日舞は、
あだっぽくて、可愛くて、元気良くて清らかで。
  
 気さくな人柄、とても素敵な女の人です。
 この年齢になったから、余計素敵なの。
 
 ご主人の久夫氏の懐の大きさを感じる所ですね。

 昔、有名な芸妓さんがスターになってレコードを出したり
大きな舞台に立った時代があったそうですが、
 それを思い出す位あでやかな印象。

 服飾とインテリア等のセンスがプロのスタイリスト並の、
ゆう呼さあやさんが選ぶ舞台衣装はそれだけでも、一見の価値アリ。

 初めて彼女の用意した大がかりな布の舞台装置と衣装を見たとき、
私はしばらくぼや〜っと、ただ見とれていました。
 舞台装置はその時によって、あったりなかったり簡単だったりもします。
 
 それから化粧。
 一般に濃い化粧というものは、良い印象を持たれないのですが、
彼女はメイクアップはお白粉と紅の素敵さ、お座敷のお化粧の良さを
上手に舞台用にした感じがあります。

 謡というのでしょうか、声もいいです。
アボリジニ音楽の時は、向こうの言葉で歌ってくれます。

参照 
チャオHP


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