福井岳郎氏特集 

福井岳郎氏は毎年札幌の道新大ホールを一杯にした、野性動物基金のチャリテ
ィコンサート(現在参加休止中)等の人気ユニット「ティンクナ」のリーダーで
チャランゴ奏者です。

近年は、劇団千年王國の音楽を担当しています。去年は「イザナキとイザナミ」
(これは若手演出家コンクール2005で最優秀賞・観客賞してる作品)。

昨年は「イザナギとイザナミ」の「音楽劇版」という趣向でしたので、役者として出演も。
それから、オリジナルのポップス系の歌もいいのがあります。

私は基本的にインド古典音楽ファンですが、そこをきっかけに幾つかのジャンルの
「他民族音楽ライブ」を聴くのも好きになりました。
初めて福井さんを知ったのは、彼がインド古典の音響を手伝っていたからです。
彼の音楽は主にフォルクローレですので、ちょっとジャンルが違うのですが、
でも彼のライブで私は「インディーズライブの素晴らしさ、楽しさ」を沢山教えて頂きました。

福井さんはお子さんが生まれてからは、ご活動が少なくなってファンをがっかりさせていますが、
それはそれで仕方ないことだと思います。
(インディーズの場合、特に生活の問題は軽視できないです)

福井さんはライブ通いをする私の目の前で、
演奏が畏敬の念を覚えるほど上達されていった方です。あれには本当に感動させられました。

福井さんは北海道大学を出て、教職経験があります。
私は福井さんの楽器の生徒さんが、会場に楽しそうに来られて
ライブを楽しんでいるのを、何度も観たことがあります。
きっと、福井さんに楽器を習うと楽しいのかもしれない。(ライブも楽しいから)

音楽に限らず、もしこの先も教師になられることがあったら、
あの「上達体験」は生徒に素晴らしいことを教えれる先生になれると思いました。
ご本人も「教師の度量」的なお人柄のある方です。

長所も短所も、けっこう玉石混合、表に出す飾り気ない方なのですが、
奥の奥の所で、物の分かった老成した所を感じる部分のある人だと思います。
「インディーズ」という方法を、私に教えてくれたミュージシャンの一人です。

ライブ関連で接するだけですが、いつもちょっと先を歩いている、
年の近いお兄さんっぽいアーティスト。
私はミュージシャンでないので、音楽面以外で、彼の影響は大きかったです。

これを読むと福井さんは怒るかもしれませんが、
彼はとにかくがむしゃらに好きな音楽に立ち向かって行きました。
すでにミュージシャンとして全国的に有名なサンポーニャの岡田さんを相手に、
年々演奏レベルを上げていき、休止前の最後の数年の道新ホールは
本当に素晴らしい舞台でした。

又彼は営業面でもがんばる方で、彼の集客力の強さにもいつも教えられていました。
多分、彼は何ごとも手をこまねいてるのが嫌いで、
結果に関わらず何でもベストを尽くすのだと思います。

そういうの教えられます。

福井さんは昔から、ちょっと「甘いマスク」系の外見をしています。
きっとご本人は、それが人気の理由の一つだと
思っている「ふし」(私の偏見)がありますが、
でも私はそうは思ったことはありません。
福井さんファンは「あの意地とガッツ」に惚れるのだと思います。うん。

ライブで見た限りでは、福井さんほど、どっか玄人受けするミュージシャンはいない気がします。
ベテランのミュージシャン達にあきれられ、ケンカ(?)しながら、
でもみんな福井さんが好き、というカンジがします。
あの「激しいガッツ」を愛する人は沢山いると思いました。(名曲「ピヨピヨ」)

(しかし、現在は昔と又違う、穏やかに淡々と音楽に向かわれている様子。
じっくり自然に取り組まれている気がします。詳しくは特集記事の後日追記にリンク)

外見は、お子さんが出来てから「髪の分け目を変えたり」して地味になってしまったし
(仕方ないですね。

それに昔札幌で活動されていた頃は、Ctiy boyっぽかったのですが、
洞爺方面に移住してからは、「大自然と暮らす」みたいな雰囲気にチェンジしています。
田舎に住んでも、都会の人より都会っぽい人もけっこういますが、福井さんは、どっぷり満喫。
でも、それぞれの生活には、それぞれの素晴らしさですから。

ご活動自体も最近はひかえられているようですが、
私は多分、彼の「あのときの、がむしゃらなときの彼の数年間」を
一生忘れられないと思います。

「福井さんがんばれ〜っ〜」(客席でただ見ている私は気楽)
まるで去年の日ハムの野球試合みたい。(はは)

ほとんど、直接お話ししたことなくて舞台観てるだけだったのに、
こう思ってしまうほど、福井さんは影響力のある方でしたね。

ミュージシャンとしても、どっか人間としての味がある方です。

(その時は演奏めきめき上達し、素晴らしいものになりましたが、生活ためか、
とにかく福井さんにはムラがある。これが欠点です。でも誰にも事情があるし、
それはそれで誰でも与えられた状況があるのだと思います。

あとフォルクローレと又少し違う作詞作曲も、とても素晴らしいです。
(参照CD「月の音、聴いてる」)

ティンクナの作詞は、老若男女問わず楽しめる
そして、ファンタジーっぽいのが多いのですが、

そういうの苦手な私が、CDの中で繰り返し聴いた好きな曲が
けっこうあるのです。義理でも何でもなく、いい歌が一杯。
やはりlove song系が特にいいですね。

これからもますますご活躍されることを、本当に祈っているのですが、
でも人生いろいろあるから、そのとき、そのとき、仕方ないこともありますね。

あ、去年は舞台の役者の福井さんも観てしまいました。
劇団千年王國の音楽劇 の「イザナキとイザナミ」
(これは若手演出家コンクール2005で最優秀賞・観客賞してる作品)

音楽担当しているのは、ライブで伺っていたのですが、
出演もするということで、私はてっきり通行人Aとかだと。
(だって、ミュージシャンしか知らなかったから)

でも出ずっぱりの準主役、しかも主演女優の、
榮田さんを相手に、とても印象的な無言の演技で
拮抗していました。

言葉をひと言も発さないのですが、
目や表情、体全体の演技で、更に劇に深みを添えていたと
思います。もの問うように。

同じ演目でも、趣向を変えて、去年は音楽劇だったのですね。
今年はまた違う演目、趣向ですが、やはり音楽を担当します。


社会人になると、時間体力等の問題で、
「鑑賞もの」のジャンルは絞らないと、無理があります。
学生時代は少し違ったのですが。

....でも、久しぶりに小劇場のすごさを見せつけられました。
躍動、役者の方々の呼吸が直に感じられる広さの会場。
夢中であっという間に、時間が過ぎていきました。
文句なく面白かった。演劇はすごい。

劇中の福井さん担当された、音楽も本当に効果的に
使われていました。

メロディというより、人間の根源的な所から出てくるような音楽、
言葉でできない密な交わりというような、劇中の楽器演奏。

榮田さんと二人、からむわけでないですが、
一番どきどきした場面でしたね。

ここは演劇サイトでないですのであれですが(演劇全然分からないし)、
主役の榮田さんの実物は、本当に魅力的で
かわいらしいのに、すごいエネルギー(もう、電気っていうの?)で、
最高だったですね。

若手演出家として、素晴らしい活動をされている
橋口幸絵さん、これからもますますのご活躍を
お祈り申し上げます。
(この劇団、北海道なのですね。何かそれも嬉しい)

(なまら面白かったです)

※ちなみに、劇団のサイトの中に、何本もブログがあり
どれも面白いです。
.....という訳で、福井さんいなかったら演劇行くこと
なかったと思うのですが、
お陰さまで、今まで知らなかった福井さんと、
素晴らしい作品をみせて頂いて、感謝しています。


★森の休日社
いろいろ特集記事 ティンクナの中アンブランテの中に福井さん特集記事があります。
ティンクナのは、長いページの最後の方の2007年2月の後日追記が、一番近いときのです。

スタジオ・ティンクナ(福井岳郎サイト)




福井岳郎 アンケート特集


1.「ティンクナ」とは福井さんにとって何か?
  「アンブランテ」とは何か?他のユニットは何か?

「ティンクナ」は、アンデスの楽器を使ったポップスバンド。
「アンブランテ」は、アンデス音楽を演奏するバンド。
他のユニットは、その時々の自分を確認する媒体。

2.フォルクローレとは福井さんにとって何か?

25歳から35歳までの10年間、熱中した音楽。
僕の音楽上の基本ツール。

3.福井さんの音楽のコンセプトは?
 (純然たるフォルクローレと又少し違う部分の方)

イメージの拡がる歌詞、覚えやすいメロディー、リズム遊び。

4.これからの音楽の活動予定は何かありますか?

担当している、劇団千年王國での芝居の音楽を、より面白く発展させること。
トリトメトリ(さとうしほ+福井岳郎)でのライヴと新作CD。
ソロ・ライヴ、ユニット・ライヴを増やす。
千年楽団のライヴ。

5.今出なくても長期的に何か計画はありますか?

自分の楽曲を中心にしたソロ・アルバム。
千年王國作品のサントラCD。

6.音楽以外で何かしたいことありますか?

芝居。

7.今一番興味ある音楽

リズム・アンサンブル。
演奏家では、中尾勘二、アンディー・スタッドマン。
楽器では、チャランゴ、壷太鼓、ケーナ、サックス。

8.今一番興味あること?

面白い芸能とはどういうものか。
良い演奏とはどういうものか。
人の思想と社会はどこまで行くことが出来るのか。

9.子供が生まれて、起きた変化

幼児期の人の心の形成過程について、注意深く見るようになった。
よく外で遊ぶようになった。

10.インディーズの大変さと良さ

大変なのは、宣伝と集客。
良いのは、自分のペースでやれること。

11.今、好きなミュージシャンとCD

ウォン・ウィン・ツェイン 「フレグランス」。
アンディー・スタッドマン 「スタッドマン・バンド」。
中尾勘治 他 「夢の隊列 プレイズ・コンポステラ」。

12.今、好きな映画

「オールドボーイ」(2003年 韓国)。

13.今、好きな本

三崎亜紀「失われた街」「となりまち戦争」。
吉本隆明「心とは何か」。
山下和美「不思議な少年」。

14今、魅かれるもの

旅する演奏家。

15今行ってみたい所

ブラジル。キューバ。バリ島。

16何でも何かありましたら

いえ、別にないです。


17.今までで最高のライブは?

チャカルタヤのラパスでのライヴ(1990年)。

18.個人的に今までで最高のライブ演奏は?

2006年の「イザナキとイザナミ」の楽日(10月2日)の演奏。

19.今までで演奏した曲で、一番印象深いのは?

a.自作の曲で 「イザナキとイザナミ」。
b・他作の曲で 「海で暮らす」。

20.今まで出したCDで一番印象深いのは?

「月の音、聴いてる」。

21.今まで何らかの意味で、一番印象深い共演者?

中尾勘治。

22.これから共演してみたい人

a.ミュージシャン 中島みゆき。
b.音楽以外    野田秀樹    

23.実際に皆さんは「他民族音楽」という意識はないと思いますが、
「森休」だから、無理に質問させて下さい。

他民族音楽をすることを、どう思っているか?

アイデアやツールが満ち溢れていて面白い。

24.他民族音楽をする上で、目指すことは?

その国の人たちの前で、自分独自の演奏をして、評価されること。

25.今一番うれしかったことは?

それは、好きな女性に告白して、受け入れられたときでしょう。

26.音楽以外の趣味ありますか?

読書、スノーシューでの散歩、将棋、芝居。

27.札幌から洞爺方面にお住まいを移された理由は、プライベートなことだと
思いますが、その事情以外に、そちらでの活動を選ばれた理由はありますか?

自然環境が良く、面白い友人たちがいて、札幌との行き来が気分転換になる。

28.現在は洞爺にお住まいのままでしょうか?
もしそうでしたら、そこではどんな日々をすごされておられるのでしょうか?
(個人情報にふれない程度でけっこうですので)

自然環境の良い所で、曲を作り、録音し、練習し、散歩し、
子供と遊び、美味しいものを食べ、友人たちと宴会をする。

29.演劇は福井さんにとって、どんな意味を持っているのでしょう?

面白い芸能を考えていく上で、とても魅力的なジャンル。
一緒に作品を作りたい、才能溢れる人がいる。

30.今後のご自身、長い目でみてどんな方向で活動される予感がありますか?

音楽を中心に、興味のある他のジャンルとの接点をぎりぎりまで追求していく。


以上
(News letter vol.9-2)



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